玲くんは、服を脱いでも色気が凄い。


服に隠されていた分、肉体から妖しいピンク色が溢れ出す。


桜色に染まった白肌が…男のくせに綺麗で、細身なのにがっしりとした骨格は、どんなに女装が似合っていても、決して女のものじゃない。


ああ、駄目だ。

玲くんの裸にくらくらくる。


女のあたしが、男の玲くんの裸にKOなんておかしいとは思うけれど、嫌でも玲くんの裸が視界に入るなら、見てしまうのが人間の心理でしょう。


ああ、下は見ていないよ?

蒸気が凄いから、じっくり見ないと見えないし。


見たかったわけではないけれど、だけど見ようとすれば見れてしまう現状を認識して、更にあたし1人、慌てふためいた。


そんなあたしは、いつもの如く玲くんにからかわれて、更にあの色気を撒き散らされながら耳元で囁かれる。


言葉もそうだけれど、玲くんの吐息交じりの囁き声って、甘すぎて…何だかヤラしくて…体がもぞもぞし始めて、腰砕けになりそうなんだ。


たらりと感じる鼻の違和感を感じて、あたしは慌てて空間から逃げ出した。


あたしだって女の子、色気にやられた鼻血姿を見せたくないんだ。


どうして鼻血が出るのはあたしだけなんだろう。


一応あたしだって半裸で、下着スケスケなのに。


きっとあたしは、玲くんを魅了することも出来ないお子様なんだと思って、軽く落ち込んだ。


ショックのように感じるのは、あたしは玲くんに女として意識されたいということなんだろうか。


駄目だ、あたしは玲くんの色気にやられているらしい。


玲くんに、何を望んでいるというのだろう、あたしは。


玲くんを待っている間。


先刻シャワーを浴びた時に着なかった…紫茉ちゃんのTシャツが放置したままになっていたことを思い出して、速攻濡れた服を着替えさせて貰った。


風邪なんてひいて、皆の足をひっぱりたくないし。


玲くんは、あたしの話し合いの提案を拒否しなかった。


それは、元に戻ったって思っていいよね?


だけどその前に、ちゃんと謝らせてね。


ちゃんと言わせてね。


あたしは玲くんが大好きで、嫌っていないということに。