するとあたしはくるりと背を向かされて、後ろから玲くんが抱き締めてきた。


玲くんの顔が見えない不安はあったけれど、玲くんは傍にいると…心地よい温もりが伝えてきたから。


ああ、何だか全てが悪い夢だったようで。


何ひとつ、以前と変わっていない気がして。


だけど、安心と同時に…妙に熱を孕んだ玲くんの肌に、呼応したかのようにあたしの体温まで上がりだして。


シャワー音だけが鳴り響く、蒸気篭った密閉空間。


心臓がばくばくするのは何の息苦しさ故か。


あたしの首元にある、玲くんの喘ぐような吐息が…微かに乱れる。


あたしの胸の位置にある手に、力が篭ると同時に…微かに動いて。


何、何、何!!?


――と思ったら、突如拒まれた。


出て行けといわれてしまった。


どんなに玲くんに訴えようとしても、玲くんはあたしを見ようともしないで、後ろ向かせてドアまで押し出す。


くるくる、くるくる、あたしは回る。


玲くんに嫌われた。

だから一緒にいるのが嫌なんだ!!



哀しくて大泣きしたら…玲くんが微笑んだ。



久々の…色気を放ちながら、現状を告げられた。


あたしは半裸、玲くんは全裸。


ひええええッッ!!!


狼狽しているのはあたしばかりで、微笑みを崩さない玲くんは…とことん余裕で。更に妙な妖しい艶まで撒き散らし始めて。


玲くん、裸見せるの慣れてるの!!?

それとも露出狂の気でもあったの!!!?


アダルトな世界は、よく判らない。


玲くんが余裕なのは、あたしがお子様だからだろうか。

経験値の差なんだろうか。