僕はくすりと笑いながら、シャワーに浴びる前に確認していた、脱衣所兼ユーティリティールームの上の戸棚をあける。


紫茉ちゃんごめんね?


勝手に白いシーツを取り出して、びりびりとそれを細く切り裂くと、一緒にしまってあるガーゼのタオルを背中にあてて、切り裂いたシーツを包帯代わりに身体に巻きつけきつめに固定する。


誰にもばれないように。



結界でも張ればいいのだろうけど、下手に無駄な力を使いたくない。


それに…回復などをしたら、きっと皆に感づかれる上、月長石は…闘いに備えて、電力を備蓄中だし。



僕は、紫茉ちゃんから借りた…周涅という男の服を着て。


青色ではないことに、そして女物でもないことに、安心しながら…急いで、洗面台にあるドライヤーで髪を乾かした。


もう僕は、辛い思いをして芹霞を拒まなくてもいいのなら、早く芹霞に会って…僕達の関係をはっきりと氷解させたくて。


ガタン。



何か大きい音と人の声がした気がして、ドライヤーを止めた。


何だろう。


隣室に人の気配を感じた。



芹霞が帰ってきたのかな?

もう…出ても大丈夫かな?



「芹霞、お待た………」



そこには――


倒れ込む櫂を抱き留める、芹霞の姿があった。