シンデレラに玻璃の星冠をⅠ



「……氷皇…」



「ああ、ワンワン~。さっきぶり~!!! チビ猿くんと逃げ出せれてよかったね~、誰のおかげかな、あはははは~」


ああ、うるせえ。

またいつもの如く、"自分"を誇示して、謝辞求めやがって。


「ねえねえ、誰のおかげかね~、逃げ出せたの」

「……」

「ねえねえ?」

「……」

「ワンワン?」


ああ、うるせえ!!!


「ああ、お前だ、お前のおかげだ。それでいいか、いいだろ!!? ちくしょう」


もうヤケクソになって怒鳴った。


「何かひっかかる言い方だけれど。よかったよね、偶然俺が通りかかって。そうじゃないと、今頃ワンワンの野垂れ死にだよ? 偶然に乾杯~」


偶然なんかじゃねえだろうさ!!!


またお前、何企んでるんだよ!!!


そう睨みつけていた時。


俺の視界の中でぷるぷると震えている奴がいて。


小猿だ。


小猿が氷皇を見て、指差して体を震わせている。


何だ?


小猿の痙攣?


突然――


「お前、何でこんな処にいるんだよ、


――周涅(すぐり)!!!」



そう叫びだして。