シンデレラに玻璃の星冠をⅠ



「出来ません」



櫂は表情を変えずに、即座に突っぱねた。


「出来ぬというのなら、お前にチャンスはやらないが」


「出来ませ「判った」


櫂の言葉をかき消すように、芹霞が叫ぶ。


「あたしがあんたの元に行けば、櫂にチャンスくれるのね!!?」


ああ、本当にこいつは。


櫂のことになると体を張りやがる。


「駄目だ、お前は関係ない!!!」

「関係あるわ、あたしで櫂にチャンスが出来るなら、お安い御用よッッ!!」


こうなりゃ櫂の言葉だって聞かない。


昔からそういう奴だ、芹霞は。


お安い御用のわけ、ねえだろうがッッ!!!


どうすればいい?


俺は一体どうすれば!!?



「――待て」


当主が喧騒を制した。


「決定権は私にある。勝手なことは許さぬ」


あくまで、櫂を追放したいのか、この男…。



「さてさて、どうしましょうか、エディター?」


オッドアイのマスターが、上岐妙に苦笑した時。





「お家騒動は見苦しいね~、あはははは~」




ああ、いつかは現われると思っていたけれど。


やっぱ出てきやがった。


外套色に青く染まった、氷のような冷酷な男。