それがあまりに神秘的で綺麗すぎて、思わず吸い込まれそうになった。
そして。
その肩にいるのは、小さな子供。
性別はどっちなのかよく判らねえけれど、同じように制裁者(アリス)の服を着ている。
子供の癖に、感情がないような…実に冷たい眼差しで俺らを見ている。
子連れか?
「マスター」
当主と上岐妙はそう呼んで、軽く頭を下げた。
何となく判った。
この男…此処の黄幡会の教祖じゃねえか?
制裁者(アリス)の服って、宗教用の服なのか?
紫堂の当主は、宗教にかぶれてんのか?
馬鹿な俺の頭では、何一つ確証を得られねえ。
櫂は目を細めて何かを考えている。
「しかしマスター。
これ以上、櫂を甘やかすわけには…」
甘やかすって何だよ?
親の情はねえのかよ!!?
「ならばこうしましょう、親父殿」
久涅が言った。
「ここから全員無事に逃げ出し、紫堂を敵に回して生き残っていられたのなら…次期当主は櫂に」
ぞくり、とした。
久涅の声は慈悲じゃねえ、確信に満ちた恫喝。
絶対に出来るわけがない、そんな響きがある。
その絶対的な自信…
何を――考えてやがる?

