「ふざけんなよ」


煌が副団長を威嚇する。


「冗談ですませられねえぞ、これはお前達の反乱だ」


偃月刀を副団長に向ける煌。


「事と次第によっちゃあ、お前達全員…紫堂の名において極刑だぞ!!?」


「その言葉は…貴方達にお返しします」


そう――

副団長は顔を上げた。


ざざざ。


音を立てて、他の幹部達が副団長の後ろに控える。


同じ顔。

同じ…意思めいた顔。



俺と対立する者の顔。



「私達がお仕えするのはあくまで正式な次期当主。

しかし私達も貴方達に手を出すのは、心情的に忍びない。

"かつて"の次期当主であられた方々に…」


俺は目を細めた。


「"かつて"?」


――噂に聞けば、紫堂稀代の"次期当主"だったとか。


どくん。



――やはり玲から聞いていないんだな。紫堂の次期当主は、この俺だ。



「玲」


俺は――



俯いたままの玲に声をかけた。




瞬間。




玲はびくんと身体を震わす。



まるで俺が何を聞きたいのか判っているかのように。



「どういうことだ?」



玲は口を開かない。



「玲。

知っていることを話せ。

昨夜――

お前は何を知った?」



再び、玲の身体がびくりと揺れた。