もう…


「やだやだやだ!!!」



そう叫んで、ふと…思った。



「ここ…何処?」


闇雲に走ってきた気がする。


どこをどう走ったのか、よく覚えていないけれど、見渡せば…黒い壁ばかりの密室。


出入り口もなければ…櫂なんて見当たらない。


もしかして幻影?


鏡は…ああ、小猿くんの処だ。


そうしたら、あたしずっと此処から出られない?


櫂に…会えないの?


――芹霞ちゃあああん!!


会いたい。


櫂に会いたい。


あたし達は巡り会えるよね。


あたし達には、まだ絆があるって、安心したい!!!



そんな時、腕をとられて。



玲くんだと思ったあたしは、思い切り手を払い除けて叫んだ。



「もういい!!! あたしに…もう触らないで!!!」



だけど。


あたしの目の前に居たのは…



「妙なトコでまた会うなあ、小娘」



漆黒の髪。

切れ長の目。



櫂と酷似した…悪魔バージョンの偽次期当主。


何てこと。


今、密室に2人きり。