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突如――。


あたしを後方に引き寄せる


両横から突き出た2本の腕。



「いやああああ!!」



それは一瞬。



「芹霞、おい芹霞!!?」



煌の伸した手があたしの指を掠め――

あたしと煌は引き離された。



「煌おおおお!!!」



目に鮮やかな橙色が遠ざかり――

漆黒色の壁一面が拡がる。



何!!?


何が起きたの!!?


やだ、気持ち悪い!!


煌、煌、煌!!!



「やだ…やだやだ!!!

煌おおおお!!!」



――その時。





「うるせえええ!!!

耳元で騒ぐなよ!!!」



それは声高なキーキー声。


その聞き慣れた声に振り返って見れば、


清楚に短く切り揃えられた、藍鉄色の髪。

同色の凛とした強い光を宿す瞳。


間違いない。


「小猿くん!!?」


皇城翠が立っている。