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何処までも何処までも、僕は彷徨(さま)い歩く。
夢幻に続く薄い硝子の上を。
向こう側で芹霞が笑うから。
――玲くん、早く来て。
笑って手招きするから。
だから僕も微笑んで、愛しい彼女の名を呼びながら、足を速めたんだ。
だけど。
近付いたと思えば遠く離れ、
どんなに急いでも距離は縮まらない。
もしこの足場が崩れてしまったら…?
見下ろせば、深く暗い奈落の底。
そこには――
僕を見上げる女がいる。
――オイデ、オイデ。
両手を拡げて僕を待っている。
――ワタシダケノカワイイレイ。
嫌だ。
僕は、あんな狂女の元に行かない。
僕は違う。
僕は狂ってない。
僕は生きるのはあんな暗い地底ではなく、
――玲くん、こっちこっち!!
もっと…心温まる日が差した世界。
芹霞。
芹霞。
抱きしめたい。
僕の芹霞。
僕だけの芹霞。
愛しい…ただ1人の女性。
ピシッ。
――その時。
硝子の道に皹が入り、僕と芹霞の道が崩れ始めて。

