「え!!? えええ!!?」
ようやく芹霞は、我に返り。
「ぐるぐるぐるぐる、何なのよ!!?」
そう怒鳴って。
「この中に、紫茉ちゃんは居るの!!!
それに…多分櫂達も居るのよ、絶対この中に!!!」
芹霞がそう、足でドカッと壁を蹴った。
芹霞も感じていたか、櫂の気配。
「しかしどう入るよ?」
一応偃月刀で切りつけたけれど…やっぱりな。
この壁の特質からして、絶対物理的衝撃も、魔法的衝撃も一切受け付けねえ。
「仕掛けでもあるのかなあ。でもあたしと煌とで、仮に仕掛けを見つけたとしても…解けるのかなあ?」
むっとはしたけれど、確かに芹霞の言葉にも一理ある。
俺達は、頭を使うものが苦手だ。
「煌、ここで騒いでみようか」
やがて芹霞が言った。
「もしかして中から誰か出てくるかも知れないし。敵だったら煌がやっつけるか脅すかすればいいでしょ? あたし頭いいよねえ!!?」
あまりにも原始的な方法過ぎて、感想もねえや。
だけどここに櫂が居るのなら。
俺達が此処に居るということだけでも櫂に教えたくて。
「よし、じゃあ作戦決行!!!」
そして芹霞は思い切り息を吸い込んで、
"あ――!!!"
そう、言う直前だった。
突然――
「!!!?」
芹霞が背にした壁から、両腕が突き出て来て、
「きゃあああああ!!!」
悲鳴を上げた芹霞の身体を抱きしめるように、再び壁に吸い込まれてしまったのは。

