煌Side
****************



「願い求めよ。

さすれば我は汝等に与えん。


さあ……求めよ。

汝の願いは如何に?」




拡声器(スピーカー)でも設置されているのか、先刻から同じ言葉ばかり鳴り響いている。


男なのか女なのか、大人なのか子供なのか、まるで判らねえ不可思議な声。


何の抑揚もねえ機械的な声。


何だろう、俺は生理的に受け付けねえ。


それはある種の瘴気にも似て、首の辺りがざわざわして気持ち悪いんだ。


それは芹霞も同じみたいで、俺達はずっと首を摩っていた。


櫂達が何処に捕まっているか判らねえ俺達は、とりあえず制裁者(アリス)が見える場所を重点に探していった。


制裁者(アリス)は弱い。一突きで地面に崩れ落ちる。


しかし建物は不思議なことに出入り口がなく。


空気孔のような小さな窓から中を覗くしかなかった。


出入り口がないなら、この建物の意味あるんだろうか?

何の為に制裁者(アリス)が見張っているんだろうか?


さっぱりよく判らねえ。



そんな時、一般人が出入りしている建物を見つけた俺達は、それを奇妙に思って足を止めた。

半円蓋(ドーム)型の形状の…やはりあの壁の素材の建造物には、まるで教会のステンドグラスのような、嵌め殺しの窓が高い位置にあり、俺は芹霞を肩車をして中を覗かせた。


芹霞曰く、大勢の人間が、蛇みたいな置物のある祭壇らしきものに向かって平伏しているようだ。


礼拝所か説法場所かは知らないけれど、指導者たる教祖達はいないらしい。


大した収穫もないから芹霞を下ろそうと身を屈め行く。


「煌…。上向かないでよ。スカートの中覗いたら、絶交だから!!」


「そんな目くじらたてるなって。俺はそこまでムードなしの変態じゃねえから。然るべき時に、じっくり見させて貰うから安心しろ。あ、そん時は白いフリフ…」


「――最低ッッ!!!」


思い切り――

頭を蹴り飛ばされた。


本気だったのに…。