櫂Side
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右側の壁が横に動いた。



睨みつけた先には――



「な!!!?」




桜が居た。




宙に吊られた、小さい姿。




逆吊り、だった。





足から流れ落ちる鮮血が、土色の桜の顔を赤く染め、力なく伸びきった両手を伝って…床に真紅の血溜まりを作っている。



漆黒に走る真紅色が、狂喜しているように見えた。




暗黒と真紅と。




最大の禁忌の悪夢の中に、



桜が繋がれていた。




俺は…何故此処に居る。


何故、こんな場所にいるんだ!!!



桜、なあ…桜!!!


嘘だよな、なあ!!!