暗くなり始めた公園は、玲様の掠れきった声がよく響き、それをBGMに私は闘っていて。


自警団まで現われ、それを私は排除して。


そこに鳴り響く櫂様の携帯電話。


翳りきった端正の顔が、僅かに弛む。


芹霞さんからだ。


焦げ蜜柑は、芹霞さんに会えたんだ。


少し…いや、かなり。力が出た。


絶望的な状況の中で、芹霞さんが帰ってきてくれれば、それだけで光明が見えた気になる。


玲様に声をかけてくれるだけで、玲様は頑張れる気がする。


例え玲様が芹霞さんを弾いていても、それが本心ではないと誰もが判っているから。


芹霞さんなら、きっと玲様の力となってくれるだろう。


玲様だけではない、櫂様にも、


――私にも。



そんなことを思っていたから、櫂様の背後に忍び寄る影に私は気付かなかったのだ。


数だけで攻める刺客など、私の相手にもならないはずだったのに、私が…櫂様を守れないなど。


そしてお強い櫂様が、瞬時に倒れてしまうなど…。


「紫堂、おい!!?」


甲高い遠坂由香の声で振り向けば。


櫂様の背後にいたのは、


「!!?」


制裁者(アリス)の服を着た…

制裁者(アリス)ならざるもの。


銀色の髪。

銀色の瞳。


――ぎゃはははは。


まるで。


陽斗と正反対色の…"陰"の美貌。


違う、そんなことよりも!!!


ああ…あの、

酷薄めいた氷のような顔は!!!


あの威圧感は…!!!