「な、何!!?」


「敵撒いたし…小道だし。少しだけ、バイク止める。

充電…させろよ」


そして。


後ろから首筋に顔を埋めた。


癒やされるけど…何か切ねえ。


もっと安心出来る証拠を刻みたい。


不安愁訴は、櫂達の動向だけじゃねえんだ。


「く、首に吸い付くな馬鹿者!!」


そう、拒むけれど。


拒まれれば、聞きたくなる。


「ひ、ひゃ!!! 

耳に息吹きかけないで!!どこ舐める…ン…い、いや…こぅ…」


期待以上に、あまりに可愛く啼いたから。


「もっと…先、進む?」


耳元で囁いた俺に――


「この――エロエロ変態お盛りワンコ!!!!」



芹霞の肘が飛んできた。

すげえ、俺…パワーアップした気がする。


そんなこと思いながら俺がよろめくと同時に、バイクがぐらりと傾き、足元の何かにぶつけた衝撃があった。


「煌、何か壊した、壊れちゃった!!!」


そして沈黙。



「お、お地蔵…さん!!?」



目の前に、小さい頭が落ちている。


芹霞が慌ててバイクから飛び降り、その頭を胴体の上において合掌した。


「何で、何でお地蔵さんがこんな処に!!? ここ何処…小伝馬町!!? 時代劇で牢があった場所!!? やだ、なんか変なのが襲ってきそうだ、南無阿弥陀仏…」


そして俺は、ある1点が目に入る。


そこから4.5m程先に横たわっているもの。


ボロ雑巾の如く。


それは――