「あ、ああ…ああああ」



びくんびくんと波打つ玲の身体。


痙攣だろうか。


一体、玲の身体の中で、何が起こっているのだろうか。


何が玲を蝕んでいるのだろうか。


こうして玲の傍についていてやることしか出来ない、そんな自分の無力さが呪わしくて。


せめてもと回復結界を張ってはいるけれど、玲のこの様子では…あまり効果がないのかもしれない。


俺は縋りついてくる玲を抱き締めてやる。



「あ、あああああ…」



止めどなく流れる玲の涙は、


何に対してのもの?



「ああ…ああああ…」



痛ましい玲を、見ていられず…思わず俺は顔を背ける。



だから俺は――



気づかなかったんだ。



桜が、酷く思いつめた顔をして、



自らのポケットから取り出した小瓶を見つめていたことに。