「うん。あたし櫂や煌と一緒に居ると、どんな関係かって質問攻めにされるのがもう疲れて嫌だ。折角桐夏じゃないのなら、平穏に過ごしたい。女の子組、男の子組でいいかな?」


そんな理由?


少しだけほっとした。


だけど――


「質問攻めって…櫂は判るけど、俺関係ないだろうが!! はっ!! もしかして俺が威嚇し過ぎ「無自覚男」


芹霞がひと言で俺の反論を遮った。


何だか…可哀相なものを見ているような、遠坂や桜の哀れんだ眼差しが気に食わねえけど。


「それに玲くんなら黄色い蝶々が来ても「僕は櫂と一緒がいい」


芹霞の声に被せたのは、顔を上げた玲で。


「僕は櫂と…煌と一緒。桜…お前は芹霞と由香ちゃんを頼むね」


微笑んではいたけれど、それは仮面のように不気味な微笑み。


「え? 玲く…「そういうことで決定だ」


「あははは~。レイチャンどうしたの? 女装してカイクンに心傾いた? あ、もう本鈴の時間だから、じゃそういう分け方に決定!!」


珍しい。


玲が芹霞の意思を無視して、更に芹霞と共に居ることを却下するなど。


確かに、俺達の主は櫂だけど、黄色い外套男が出る今、むしろ目を光らせないといけないのは芹霞の方で。


お前だけが芹霞以外に、敵の姿が判るんじゃねえかよ。


櫂の刺客が居ても…俺と桜がWで居るんだし。


芹霞が狙われたら、近くで守るのは桜1人にさせるのかよ。


櫂と芹霞と玲。いつもなら、それくらいの贅沢な組み合わせ申し出てるぞ?


何より。


芹霞に対して"自己主張"を始めた玲にしては、玲らしくない決断。


そして――


玲。


お前…芹霞に線引いてねえか?

朝から…あまり芹霞と話してねえし、目も合せねえよな。


どうしたんだ?


俺らにはいつも通りだし、先刻も俺の脛蹴り飛ばすだけの嫉妬は持ち合わせている癖に。


芹霞には、今まで通りの接し方を躊躇っているような様子が見られて。



俺は――

やはり愚鈍すぎて。


気付かなかったんだ。


玲の変化の意味を。


儚げに微笑む玲の心の内を。