イボガエルが、俺達を校舎まで案内しようとドアから出た時、


「あ!! そうそう、クラスだけど」


氷皇は、わざとらしい柏手1つ打った。


「3人ずつ2クラスね。芹霞ちゃん、君が1番一緒に居たい人と2番目に一緒に居たい人を優先的に指名する権利あげる。誰がいい?」


俺達を煽るようなことを、意地悪く言ってきた氷皇。


絶対俺達の反応を楽しんでいるに違いねえ。


芹霞は俺達をぐるりと見渡した。


すげえ緊張する。


だけど――判っている。


きっと芹霞が選ぶのは…


「いつも通り、カイクン指名?」


透き通るような黒い瞳がゆっくり櫂に向けられると、俺の胸はぎゅっと締め付けられた。


芹霞が櫂を選ぶ。


それを見ているこの状況が溜まらなく嫌だ。


頭より先に手が出そうになる。

その腕掴んで「俺を選べ」って言いたくなる。


そんな時、芹霞は――

ゆっくりと首を横に振った。


それに誰もが驚いて。


「あたし…玲くんと由香ちゃんと一緒がいい」


その言葉に、室内は静まり返る。


櫂の顔が、凄惨な翳りに覆われ、苛立ったように目が細められたのに、芹霞は気付いていねえ。


「へえ…君が選ぶ男は、レイチャン?」


玲は…俯いていて。


その表情は判らないけれど、喜んでいるに違いねえ。