「!!!」



『せりかちゃん、だいすき』

下手くそな字で書かれた紙と

小さい硝子の指輪。


そして。


子供の腕時計とセピア色に変化した写真。


それは幼い煌と芹霞が、ケーキの前にいて。

はにかんだ煌が、嬉しそうな顔をして手を伸ばす芹霞に、同じ腕時計をつけていて。


それだけ、だった。


僕は――


がくりと膝を落としてしまった。


「何だよ…

だから…

僕だけはよかったのかよ…」


芹霞の"大切"な箱に入っていない僕なら。


第三者だから、見られても平気だったのか。


箱の中には、僕が居ない。


あるのは櫂の思い出。

煌の思い出。


僕との思い出はないの?

僕は大切じゃないの?


僕が贈った金緑石。


あれすら壊れて無くなったという。


僕の想いの結晶は、君の中には残ることは出来ないの?

形にもならないの?