渦中にいるらしい俺が、誰とどんな情報のやりとりをしているのか。


青い男の、抜け目ない観察能力と頭の回転の速さを恐れればこそ、監視される覚えなど何1つない俺とて、迂闊なことは口に出せない心境に在る。


胡散臭い笑い響かせながらも、精神的に追い詰め愉しんでいるのが、非情と名高い氷皇という男。


彼にかかれば、俺という存在は玩具なのだろう。


俺の動きは氷皇によって封じられ、そして、俺の側近たる煌も玲も桜も同じく。


外出は禁じられ、プライベートの自由全て奪われている。


芹霞の行動情報の呈示まで氷皇に求められれば、あいつの全てを知られたくなくて…だけど俺も芹霞の行動を把握したくて…ダミー文章を扱える玲とのメールに頼った。


玲とのメールを指示した時点で、氷皇は何かを感じ取ったのかもしれないけれど、玲の様子に苛々している姿がそんなにも面白いのか、追及はしてこなかった。


――芹霞ちゃんが恋しいなら、一緒に此処で缶詰してもいいよ?その方俺も嬉しいし。


こんな窮屈な状況に、芹霞は巻き込みたくないと思うのは、氷皇を除く全員の一致した見解。


加えて、俺はこの男が嫌いだ。


拒絶できない情けない現状を、傅(かしづ)かざるをえない俺の姿を、出来る限り芹霞に見せたくない。


そうして芹霞を遠ざけて3日目。


家に不遜に居座る、冷酷な青色。


ストレス…なんてものじゃない。


遠ざける決断をしたのは俺なのに、いつ会えるか判らない現状に…今から心が折れそうだ。


俺だけではない。


皆のストレスは、3日目にして…爆発寸前。



「レイク~ン、喉渇いた」

「ワンワ~ン、お風呂入りたい」

「サクラチャ~ン、マッサージして」




それも皆――

突然現れたこの男のせいだ。