視界から久涅が消えた目の前には…
「!!!?」
大人の人間が身体を畳んで入っているような…そんな大きさに育った蚕。
薄く伸びた半透明な表皮に…胎児のように丸まっ不気味なたシルエットが映る。
中に…何が入っているのか。
考えるだけで発狂したくなる。
不意にその表皮が、それがビチビチと…
不穏な音をたてて…弾け始めた時。
ブォーーーーーーーッッ
汽笛が鳴ったんだ。
勝負は、汽笛が鳴り終わるまでなら。
まだ、諦めるのは早いッッッ!!!
ブォーーーーーーーッッ
まだ大丈夫。
「櫂、あんたの足なら、駆ければ間に合うッッッ!!!
行け、早く行きなさいッッッ!!!」
ここはあたしが食い止める。
久涅の力により、あたしから散った白いものが、再度あたしに集まってくる。
久涅が何かを叫んでる。
櫂が何かを叫んでいる。
ブォーーーーーーーッッ
汽笛の音が、彼らの声を掻き消した。
悪臭と、黄色い汚濁液を撒き散らせて、巨大な蚕から何かが…出てくる。
あたしの足には白い蛆に塗れる。
怖くない…わけはない。
怖い、怖くて仕方が無い。
だけど――
あたしは退かない。
絶対、退かない!!!!
食うなら、食え!!!
だからその間に――
「芹霞ああああああ!!!!」
櫂の絶叫に、あたしも絶叫のような声を返す。
「櫂、まだ居たの!!!? 走れッッッ!!!」
ブォーーーーーーーッッ
その時だった。
突如、地面から…天空に向って、重力に逆らうようにして、火が吹いたのは。

