「馬鹿か、お前は!!!」
怒鳴り声の主は櫂ではない。
正面から焦ったように抱きついてきたのは――
またしても…久涅。
「離して、離しなさいよッッッ!!!」
"あれら"が…――
無効化の久涅に抱かれたあたしを避けて通ってしまう。
あたしの意味がなくなってしまう!!!
「どうして、櫂の為にそこまで命を賭ける!!!?
どうして、俺をそこまで拒む!!!?」
あたしは久涅を睨みつけた。
「"どうして"!!?
そんなの決まりきっているじゃないの。
あたしは――
神崎芹霞は!!!
あんたじゃなく、紫堂櫂を愛してる!!!
ただそれだけが理由よッッッ!!!」
そう思い切り叫んだ時、後ろから櫂の声が聞こえた気がした。
櫂の全身の震えを…背中で感じた。
今は…好きだの嫌いだの、言っている余裕はない。
判るでしょ、櫂!!!
「櫂、早く行って。早く勝負に勝ってッッッ!!!」
その為に、その為だけに!!!
あたしは、あたし達は!!!
――弱っちいなあ、反吐が出る。
真紅色の邪眼。
――櫂達に手出しをしないというのなら、俺は…制裁者(アリス)に下る。
あああああ!!!!
今は、それを考える時ではないのにッッッ!!
「芹霞……」
そんな、頼りない声を出すんじゃない。
あたしの心が…折れてしまうじゃないの。
振り向いて、抱きついてしまうじゃないの。
あたしは――
久涅の胸に渾身の力で頭突きをした。
久涅が反射的に身体を震わせたその隙を狙い、あたしは久涅から離れたんだ。

