「…芹霞」
思わず呟いたその名前。
迎えに来てと言われた俺は。
常に共に居ると…手首に赤い布を巻かれた俺は。
芹霞の姿を目に出来ないのがとても苦しくて。
殺されてもいいから。
辱めをうけてもいいから。
どうか最愛の女の姿を…一目でもいいから見たいと切に願った。
今、見たいと思った。
俺の人生は、芹霞を守ることで。
俺の永遠は、芹霞に捧げたもので。
その芹霞が居ないことは…俺の覚悟を揺さぶるんだ。
こんなになっても尚。
玲に託してもそれでも尚。
俺は芹霞に未練があって。
芹霞の幸せを誰より強く願っているはずなのに。
幸せにする相手が俺ではない可能性を考えるだけで、拒否感に全身が切り裂かれそうで。
肌という肌を掻き毟り、発狂しそうで。
溢れる想いが熱く零れて、息が出来ないんだ。
――芹霞ちゃあああん!!!
行かないで。
離れないで。
切なさと苦しさに、そして滾る想いに胸を焦がされる。
会いたい。
置いてきたのは俺だというのに。
触れたい。
勝負を優先させたのは俺なのに。
煌も桜も玲も。
俺を行かせようとその身を捧げたというのに。
ゴール目の前に俺は今、泣き崩れてしまいそうな程、芹霞を求めていて。
ああ、何でこんなに心を制御出来ない!!?
ああ、何でこんなに心が乱される!!?

