櫂の幸せを踏みにじって、自分の幸せを願う僕。

櫂の立場と僕の立場を逆転したい僕。


苦しいよ。


僕は――

どうすればいい?


櫂を助けたい。

芹霞を手に入れたい。


その狭間で激しく揺すぶられる。


櫂がいなければ。

櫂が次期当主でなければ。


その邪念に苛まれる。


以前のように、割り切って行動が出来なくて。


何でだ?

どうしてだ?


あの煌でさえ――

櫂の為に身を投げ出し、同時に芹霞を愛しているというのに。


どうして僕は…そこに躊躇する?


"エディター"に触れすぎたのかも知れない。

"エディター"の核に居すぎたせいかもしれない。


僕は我が身を守る為に、櫂への忠誠心を穢してしまったのか。


櫂に気づかれるな。

惑う僕を気づかせるな。


今僕がすべきことは、櫂を勝たせること。


どう考えても…100%の保証がないものを決行させるわけにはいかない。


ホントウニ?


櫂の葛藤を見ていただろう?


テクビノアカイヌノガホシイ。