「何の為に僕達は!!!」


「判っているよ、玲。

だけど…あと20分そこいらで、緋狭さんの攻撃を凌ぐことが出来ないのは…現実」


「そんなもの僕が「…玲」


俺は言った。


「もう、誰も傷つかせたくない」


「そんな綺麗事は「玲!!!」


何度も玲の言葉を遮り、俺は続ける。


「俺だって、最後まで藻掻く。

だけどもし緋狭さんが現われたのなら」



俺の"覚悟"を…強硬するために。



「素早く切り換えねば…

切り札の効力はなくなる。


決行したら――

後は頼むぞ…?」



玲は――

返事をしなかった。



何処までも端麗な顔は憂い…

煩悶に苦しんでいた。



「信じ合うことしか、道はない。


だから俺を信じろ。


そして――

煌も信じよう」


煌――。



――約束、して欲しいんだ。



「煌は――

制裁者(アリス)に堕ちていないと。


必ず戻ってくると…」



玲からの反応はなく。



「玲。

万が一の時には――


芹霞を守れ。


守って欲しい…誰にもやるな」



「――櫂」



玲が俺を見上げた。


挑発的な眼差しで。



「だったら僕は――


芹霞を貰うよ?」



俺は…


込み上げる感情を押し殺して、



「その時は――仕方が無い」



笑うしかなかった。