櫂Side
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ぞくり、とした。


俺の体から…何かが抜けたような、奇妙な虚脱感。



無性に寂しく、悲しくなる心地に…思わず俺は立ち止まった。


同時に――

玲も反応していて…俺達は顔を見合わせる。



「これは――…」



鳶色の瞳が細められる。



「――…煌?」



玲が口にした名前に…俺は唇を噛んだ。



確かに――

煌が生還した気配はあったんだ。



それは距離がある為に、ぼんやりとした感覚ではあったけれど。



だけどそれが…


その色が、その生彩が――


突如変わったんだ。



煌…一体何があったんだ?



煌の変化に…傍についていなかったことが口惜しい。


芹霞はどうした?


お前は…煌についてやれていたのか!!?


何があった!!?


俺は――


頭を過ぎる1つの可能性を振り払うことが出来ずにいる。



もしかして煌は――。