ぞぞぞと…激しい悪寒がした。


それが判ったらしい煌の顔は、更に悲痛に歪んで。


だからあたしは…


その唇を舌でこじ開けた。


はしたないとか、気持ち悪いとかそんなの関係ない。


舌先の不快な感触は、煌の熱い中で…煌の舌で消してくれればいい。


いつもみたいに蕩けさせてよ。


ねえ…。


忘れさせてよ!!!


あたしは引かない。


絶対煌を離さない。



「芹……霞…」



煌は…あたしを抱きしめた。


躊躇ったようにおずおずと…そして力強く。


合わさった唇に、荒い力が宿る。


「ああ…芹霞…んんっ…俺の…」


譫言のような熱い声が漏れてくる。



「俺だけの……」



深く深くあたしの口腔内を舌でまさぐり、

あたしの中の異物を全て搦め捕ると…



「――…。

さんきゅ、な」



あたしから身体を離したんだ。



煌の目から、涙が零れている。


笑う顔は…いつものあどけない、心を許した者だけに見せる顔で。

「蛆まみれの俺に、ありがとう。


ちゃんと口…すすげよ?」



そう笑って――


あたしの鳩尾に拳を入れたんだ。