「煌、あたしは!!!「桜……」


煌はあたしの言葉を遮り、桜ちゃんを見た。

這いつくばるような格好で、蹲ったままの桜ちゃん。



「桜…。もう…俺は抵抗する気力…ねぇや。


俺が…気づかない内に櫂を裏切っていて…

何処から何処までも…逃れられないのなら、もう…」


桜ちゃんは黙したままで。


「この立ち位置が、櫂の力にもなれねぇ最悪のモノなら…。

俺…櫂のためには、そっちに居られねえんだ」


そして――


「だけど最後くらい…

櫂の約束、守りたいんだ…」


煌と少しの間視線を絡めた。


「きっとあいつは…決行する」


何のこと――?



「――…そうか」


先に視線を外したのは桜ちゃんで。


その諦めムードにあたしは慌てて名前を呼ぶ。



「煌――ッッッ!!」


抱きついた先の煌は…びくりと身体を震わせた後、おずおずとあたしの首筋に顔を埋めた。


ゆっくりと…柔らかい橙色の髪の…その頭を、あたしの首から滑り落とすように、大きく揺らして。



「俺…もう、お前を……

諦めるしかねえや…」



そう笑って――


あたしを突き飛ばした。