駄目だ。


このままだと…煌は!!!



「――来い、BR002」



銀色氷皇は手を伸べた。


「血に塗(まみ)れ、罪に穢れたお前の生きる世界は――制裁者(アリス)だけだ」


凱の言葉が思い浮かぶ。


――集めているんだ、数字持ちを。


「仲間だけが…お前を受入れられる唯一の場所。思い出せ、制裁者(アリス)時代を。さあ…真紅の瞳に戻れ」


「駄目だ、駄目だ!!! 揺れるな煌ッッッ!!!」


私は叫んだ。


判るんだ。


付き合いは長い。


煌の…単純な思考がどう転ぶのか、今何を考えているのか。



「櫂様を…芹霞さんを…、

そして私達を…

裏切るんじゃないッッッ!!!」



煌はゆらゆらと揺らめくように動き、



銀色氷皇の手を…




「「煌ッッッ!!!!!」」



払って、叫んだんだ。



「朱貴――ッッ!!!


皆を…横須賀港まで連れて行けッッッ!!!」



何処までも真紅に近い…


褐色の瞳で。