――私を上げる前に、永遠の…愛の証を頂戴?


そして――


――うふふふふふふ。



玲の目に指を突き入れ――

眼球を抉り出したんだ。



――王子様の…愛の心があれば…私は!!!



狂ったような女の笑い。

微笑み続ける玲。



それは異常過ぎる世界で。


待てよ、お前――

玲の身体が目的じゃなかったのか!!?


コロコロと様子が変わる女は、何が真実の"本質"なのかよく判らなくて。


まるで違う女が複数介在しているかのように、捉え所がなかった。


自分の…剥き出しになったはずの心の奥底で、沢山の自分がいるってどういうことよ?


まるで貼り合わせたような世界を、女を…見ているような気分だった。



――心さえあれば…星冠(ティアラ)が貰える。


――私は…『TIARA』発動前に…間に合った!!!


そして謎めく言葉に。


『煌…『TIARA』発動前って何だ?』


「判らねえ。判らねえけど…なんか悪い予感がする」


身体を掻き毟りたくなる不快感。


――ふふふ、私は生き残れる。鍵を手に入れたのだから…これで安心して楽園で生き残れる!!!


そう。


秘密裏に動いていた"何か"の片鱗を覘いた気がして。


それが櫂に繋がるような…悪い予感。


「櫂…大丈夫かよ…」


無性にそれが気になった。


ただのお家騒動ではなく、意味あっての櫂の排斥であるならば。


俺は…手の中の糸を見た。


昔取り決めた桜との約束。


今まで一度も使ったことはねえけれど。


櫂の元に桜が居るなら…桜にどうしても櫂を守って貰いたい。