煌Side
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確かに――

芹霞に会いたいとは思っていた。


そして目覚めてすぐ、ぼんやりとした視界の中に、会いたかった女の姿と甘い匂いが強まれば…今在るのは夢か現実か惑うだろう?


それじゃなくてもずっと現実世界ではない…異次元みたいなおかしな場所に居たんだ。


俺の願望の顕現じゃねえか…確かめたくなるのは人情ってもんだろう?


だから、名前を呼んで本当に幻じゃないか確かめようとした途端、顔面が温かく柔らかなものに押し潰された。


驚いて開いた口の中まで謎の柔らかいのが入り込み、口はおろか…鼻まで塞がれ、息が出来なくなって。


おまけに…腕が痛いんだって。


ずきずき、異常を訴えているんだ。


そこに全体重乗せて、鼻と口を塞ぐな。


そう訴えようとしても、柔らかなモノに埋もれた俺の声は届かねえ。


というか…これ何だよ。


芹霞何してんだよ。


そう思った時、


――何で死んじゃったの、煌の馬鹿ッッッ!!!!


縁起でもねえこと言うなって!!!


俺死んでねえから!!!


訴えたくても…喋れねえ。


とりあえず――

どけ、どけよ芹霞!!!


もごもご口を動かした。