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「皆行っちゃったね、で…君は久涅ちゃんにナニをしてくれるのかな?」


周涅は、下卑た笑いを顔に浮かべて、あたしに聞いてきた。


蒼生ちゃんと同じ顔。


あの冷酷で胡散臭い青色とはまた違う……不穏な黒色を混ぜ、幾重もの色合いを統合した…掴み所のない不純な赤銅色。


表面では錆びたように光を抑えているのに、よく見れば黒く発光して自己主張を強めている。


それが…紫茉ちゃんの兄。


加えて女遊びが激しくて、更には守銭奴という…どう見てもいい処が何1つ見当たらないこの男が、今此の場で味方になってくれることはありえないと思った。


まさに…信用に足らない人物という点で、氷皇と瓜2つ。


「ねえ…周涅ちゃんにもサービスしてくれない?」


それ以上に、軽い。


全くもって蒼生ちゃんを擁護する気はないけれど、蒼生ちゃんより軽薄で俗物だ。


あの銀色氷皇はどうなんだろう。


というか、ここまで似過ぎているのはおかしい。


何で紫茉ちゃんは似ていないんだろう。


紫茉ちゃんの方がもっと崇高で神秘的で格好いいのに。


「あんた…蒼生ちゃんと銀色氷皇と…どんな関係!!?」


単刀直入に聞いてみた。


「ははは~。あいつは何て言ってたの~?」


あいつ…とは、蒼生ちゃんのことか。

だとしたら、蒼生ちゃんとも知り合いと言うこと?


「というか、あいつが話すわけないよね~。こんなに周涅ちゃん達、嫌いあっているのにさ」


その声音は――

酷薄な蒼生ちゃんのように感じた。