一同の視線はあたしに集まり、場は…静かに動きを止めた。



「取引とは何だ――?」


久涅は――

判っていて、聞いてくる。


だからあたしは――


「駄目だッッ!!!」


直前で否定したのは櫂。



「馬鹿なことを言い出すなッッッ!!!」



本当に――櫂は勘がいいよね。


あたしは苦笑する。




「あたし、久涅の元に行く。


だから――櫂達を此処から逃がして」




瞬間――

久涅の口元が、満足気に吊り上がったように思えた。



「芹霞ッッッ!!!」


櫂の怒鳴り声。


ごめんね、櫂。


あんた…あたしを守ろうとしてくれていたのにね。


今度は…あたしが守ってあげるから。