「それがどうかした?」
「昔引っ越した子がいるの。その子と名前が一緒だったから」
「へ~。態々人気の無い所まで俺を呼び出すくらいその子のこと好きなんだ」
えっ?
高校生になっても未だに堅吾の面影を探して他の男性に興味すらない。
「うん」
今まで自覚はなかったが、きっとこれは恋だろう。
憧れや、美化された過去に理想を求めてるだけと言われたとしても後悔はない。
「なあ、この街案内してくれる?」
堅吾の顔が一瞬曇ったと思ったけど、直ぐに口を開いた。
案内・・・?
「思い出すって口で言うだけで実際どうしたらいいのかわかんねーし。とりあえずこの街のこと知っとこうと思ってさ」
そういうことなら・・・・・
「いいよ」
私は快く受け入れた。


