「…あ…っくん?」
「……」
「…っどうしたの…?」
声が震えた。
だって、何で…
どうして……
「……俺、」
「………」
「見えなくなるかもしれないんだ」
───どうして、目を開けないの?
「…み、えなく…?
何が…」
「目。
前からだったんだけど…最近、視力がまた落ちて。
このままじゃ、手術しなきゃ見えなくなるって…」
…何を言ってるの?
前から?
視力?
手術?
───瞬間。
頭の中に、色んな記憶が流れた。
……目の前にいても、気付かなかった君。
……寝てたら良かったと言った君。
……最後に何が見たいかと尋ねてきた君。
────ねぇ、あれは全部こういう事だったの?

