君の、瞳に。【短編】




「っ」


──嘘だ。


嘘だ、嘘だ、嘘だ。




だって、そうでしょ?




あたしはバタバタと階段を登って、2階の奥の部屋を目指す。



鈴の言葉が頭をぐるぐると回る。



…ねぇ、本当にっ?



本当に?



「っあっくん…っ!」



バンッと勢いよくドアを開けたあたしはそのまま中に飛びこんだ。




だいたいが黒で統一された、薄暗い部屋。




──そこに君がいた。




「…あっくんっ!」

「……カエ?」



───その声を聞いた瞬間、もうダメだと思った。



ポロポロと涙が頬を伝う。



「…うっ…あっく…ん」

「カエ…どうして…」


「あっくん…っ!」