君の、瞳に。【短編】




「す、鈴…っ!ハゲちゃうよ…!」

「大丈夫!今日は多分、酸性雨少ないから」



…ま、まじですかっ!



って絶対、嘘に決まってるじゃないか…っ。


しかも“多分”って言ったし!





「てか鈴っ、何でそんなに焦ってっ…」


「いいからっ!来てっ!」


軽く脅しの様にそう言われ、言い返せなくなる。




てか、どこに!?


どこにいくんですか、あたし達!!



パチャパチャと2人分の足音がやけに大きく聞こえる。



びしょびしょに濡れた髪が肌にはりついて心地悪い。


寒いなぁ…っ。



ぶるっとあたしの身体が震える。




「…ついた」



その言葉にあたしは顔をあげて鈴と、目の前にたつ物を見上げる。