「要ちゃん…好き…」
「え…？」
「だから…付き合って…。」
「何だよ急に…」
「迷惑だよね、ゴメンなさい。」
抱きしめた腕は…貴方のために使いたかった。なのに…。
貴方の柔軟剤の香りも、笑顔も、声も、仕草も全部全部好きなのに…。
私はやっぱり妹感覚。
私は要ちゃんを男性として見てたのに…。
私を呼ぶ声はいつも通りのように甘い事ばかりで満ちあふれる。
幼なじみ…なんで幼なじみとして出会ったの？
そういう運命なの？
それとも…こうゆう仕組みで…貴方とあの人が出会う様に作られているの？
抱きしめた腕を放しても…貴方の目、見れないよ。
「杏…？」
貴方は同情している様に私の名を呼んだ。辛いの…。
貴方があの人を呼ぶ声と違うのが…辛いの…。
私を…ちゃんと呼んでよ…。大好きなのに…。
「要ちゃん…は…どうなの…？」
「あのさ…杏は俺の…どこが…」
私の肩を掴み、私はそれに答える様に彼の手を支えた。
「要ちゃん…」
甘える様に話したけど…貴方の表情は変わらない。
笑って…。笑ってよ…。要ちゃん…。
「兄妹感覚？」
やっと私の目を見た。
貴方の茶色の瞳に包まれる。幸せで嬉しく、寂しく、辛いものだった。
「お前のこと…妹でしか見れない。」
ポツリと告げた。
要ちゃんの後ろ姿が妙に掠れ、ボヤけた。
いつもは…いつも、ハンカチかしてくれたよね。