さっきいたあの女の姿を探してもどこにもいない。




もしかして見間違いだったんだろうか?




そう思いながら旧校舎の庭に入った。





「…んっ…スー…」




庭に入ると誰かの声が聞こえた。




辺りを見回すと1つのベンチがあってそこにある人影。




まさかと思って覗いてみるとベンチにいたのは気持ちよさそうに眠るあの女。




スー、スーと規則的に寝息を漏らし寝ていた。




「…なんで寝てんだよ……」




そうつぶやきながらあの女の隣にすわった。




「…おい、おき…はぁ…」



こんなとこで寝るなと起こそうと思ったけどあまりにも気持ちよさそうに寝たから起こせなくなった。




「こんなとこで寝てたら風邪ひくっつの」



いまはまだ朝だから少しひんやりする。



起こすわけにもいかず俺の着ているブレザーの上着をかけた。




…でも。




こいつよく見ればきれいな顔してんな…これじゃあ。




「…汚しちゃいけないじゃんかよ」



隣に眠る彼女の髪を指ですいてそうつぶやいた。




みるからに整った顔だちに真っ白な肌それに真っ黒な髪を妙に色気をもっていた。




この変な女で暇つぶし程度に遊ぼうと思ってたのに。




こんな純粋な寝顔みたら汚しちゃいけなくなった。




…こんなの初めてだな。



俺にしては珍しい。




「んっ…んぅ…」



寝言なのかわからないけど寝息を漏らした彼女にドキっとした。




…はっ。




見た目でさえこんなに色っぽいのに声もエロいのかよ。




もしここにいるのが俺じゃなく別の男だったら…間違いなく襲われてたな。




そう考えるとちょっとイラッときて、それと同時にコイツを見つけたのが俺でよかったと安心した。