「だって今までソレで経営が成り立っていたんだよ? 自然と起こらなくなったのならば、人為でも、と思わなくもないかも?」

疑問形で言うけれど、それは確信に近い言葉だ。

女将はボヤを見て、思い付いてしまっただろう。

また騒ぎを起こせば、注目が集まる。

元々雑誌やテレビで紹介されるほどだったのならば、何かが起こればまたすぐに客は集まるかもしれない。

「…でも人為的にするにも、限界があるわ」

「うん。だからさ、もしも殺傷事件とか起こったら、イヤだなぁって思って」

「っ!?」

そう…だ。

そういう可能性があることだって、否定はできない。

「だからノウコさんの人脈を使って、警察にそれとなく見張っているように助言できないかな?」

「そう…ね。あまり顔は広くないけど、言ってみるわ。でもボヤの他に、何か起こったの?」

「何か細々としたことは起こっているみたい。でも事故として片付けられているって。女将は何としても、心霊現象だと言い張っているみたいだけど」

「…そう」

しかしそれは、その土地に住むのならば有り得ない場所。