はぁ・・・。
芦田に話して、正解だったのかな?
相談に乗ってもらったつもりだったけど、なんか違うような。
まあ、芦田は言わないって信じてるし、それは芦田と杏にしか言わないし。
そうか・・・。杏に言わないとだめなんだ。
いくら対立してても、杏はあたしの大事な親友だもん。
何かあったら、一番に報告するって決めてる。
今回は、芦田に先に言っちゃったけどね。
杏に電話をかける。
「もしもし、杏?有希だけど。実はちょっと、大事な話が・・・」
「ああ、選抜のこと?芦田から聞いたよ。よかったね、有希」
「違うの・・・違うの。もっと、大事なことなの」
あたしのお父さんが、大変なことになってるんだよ。
心の中で叫んだけど、もちろん届くはずもなくて。
なんとなく、言えなかった。
杏なのに、杏なのに。
信用してないとか、そんなのじゃなくて。
ただ、気分的に言えないだけ。
あたしから電話しといて、最悪だな・・・。
「有希?聞いてんの、有希?」
「杏、ごめんね。やっぱりなんでもない。ありがとう」
そう言って電話を切った。
杏、ごめんね。


  杏Side
知ってるよ。知ってるよ、あたし。
芦田があたしに電話かけてきたんだもん。
相川には言わないでくれって言われたから、何も言えなかったよ・・・。
こんなときに相談に乗ってあげられないなんて、親友としてだめだよね。
でも、有希。
どうしてあたしに言ってくれなかったの?
あたしが信用できないから?
違う。わかってるよ。疑ってごめん。
何でか・・・何でかわかんないけど、涙が溢れてきた。
あんなにひどいことしたんだから、あたしを信用してくれないのも当たり前なんだけどね。
とりあえず、来週はセレクションの二回目。
あたしは別に選抜になりたいとか思わないからいいけど、有希は本気だから。
あたしはその邪魔をしないようにする。
有希に迷惑をかけないようにする。