「狭川さんから内線があって、ここにずっといたら風邪引くからって」 「…迎えに来てくれたのか?」 私がそう訊ねれば、はにかんだ笑顔が返ってくる。 ―――あぁ。 醜い感情も今の穏やかな感情も、全部椿がくれるなら。 だったら、甘んじて受け入れよう。 「…椿」 そっと名前を呼び、小さな彼女の肩を引き寄せる。腕の中に閉じ込めると耳元に唇を寄せてやった。 「好きだ」