“椿に会ってから変わった”だなんて、それ以前の私のことを知らなければ言えないはずだ。
…大学時代から邪険にしか扱ってこなかったのに。



「何なんだ、全く…」


むず痒いような恥ずかしいような思いがこみ上げてきて、次に狭川に会うときどう接したらいいか全く見当もつかない。










「―――三柴、さん?」


そのとき、不意に私を呼ぶ声がした。
振り返るとそこには寒そうに身震いした椿が立っている。


ふわりと香る椿の甘い香りに、頭の芯がくらくらした。