「と、特に理由は無いです…。“陸都君”って呼んだのは、単に名字を知らないだけですし…。」 「ふーん。」 さっき、自己紹介してくれたけど、名前しか教えてもらってないもんね…。 それが、何だっていうのよ…。 疑問符を浮かべていると、紫堂君は私に顔を近付けてきた。 「それなら、俺のことも名前で呼べ。」 「は、はい?」 「理由が無いなら別にいいだろ。」 ひぃぃぃっ、近い! 近すぎるってば!! ジリジリと距離を詰めてくる紫堂君から逃げるように、私は体を仰け反らせた。