テスト1週間前。
彩花はあれから毎日、メガネと勉強をしているらしい。
里美先輩と会う機会がなくて残念だと、心にもない事を言っていた。
俺が安堵のため息をついたのには、見て見ないふりをしているようだ。
テストが終わるまでは、平和に暮らせそうだな……。
自習をサボり、渡り廊下でジュースを飲みながらぼんやりしていた時だった。
「お前……1年の武内か?」
横から声をかけられた。
「あぁ?」
そちらを向くと、俺に負けないくらいガラの悪い男子生徒が3人、立っていた。
多分、2年か3年だろう。
「そうだけど?」
「お前、デカイ面してるみたいじゃねぇか」
「球技大会で目立ったからって、いい気になってんじゃねぇぞ」
……ダリイ。中学で散々やったやりとりだ。
「別に、そんなつもりないっすよ」
軽く受け流して、教室に戻ろうとする。けれど。



