しかも、会長のクラスの勝ちかよ。
彩花は飛び跳ねて、会長に駆け寄る。
しかも体育館のあちらこちらから、歓声や拍手が飛んだ。
なんだ、あのメガネ。誰にでも良い顔しやがって……。
「お兄ちゃん、どうしたの?すっごい怖い顔してる」
いつの間に来たのか、ヒナが俺の顔をのぞきこんでいた。
「キミたち、一回戦に勝ったら、二回戦で会長とあたるよ」
「……マジかよ……」
「ホント」
よし。ぶっつぶすチャンスだな。
隣の和樹も同じ事を思ったらしい。
俺達は、同じ1年相手の一回戦を、安々と突破した。
ヒナがニヤニヤした顔で見ている。
そして、二回戦。
生徒会の仕事に行っていたのであろうメガネが戻ってきた。
名前なんか知らん。『メガネ』で十分だ。
彩花はメガネに挨拶をし、名残惜しそうに体育館を出ていく。
チラリとこちらを見たようだが、そのまま無視して行ってしまった。
多分メガネに、俺と双子だという事を知られたくないんだろう。
上等だ。俺だって、知られたかねぇや。



