「あっ、あああ!!」
足をどけると、そこには真ん中から折れて二つに分かれた、新川先輩のヘアピンがあった。
慌てて拾い合わせてみるが、くっつくはずもない。
ジャンプした瞬間にブレザーから落ちてしまったんだろう。
さぁ、と血が引いていく音が聞こえた気がした。
「晴人?どうした?」
「ワリイ……帰る……今度こそ、帰る……」
俺は、折れたヘアピンを握りしめ、トボトボと家に帰った。
夕日が、そのヘアピンを拾った日と同じように、視界をオレンジに染めていた。
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