「よしよしアニキ、これで女子に人気が出るぜぇ♪」
三井は仕事を達成した爽やかな顔で言う。
「別にいい……もう色恋沙汰はこりごりだ」
これは本心だった。
俺はすっかり疲れきっていた。
「お前こそ……まぁ、お前は心配いらねぇか」
「俺?そーね。美奈子ちゃんでも狙おうかな。何気に美人だし」
「そりゃいいな。頑張れよ」
三井は彩花の事を、男らしく諦めたらしい。
そもそも、間宮に対する反発心から始まった恋だし。
そう言って笑う目は、まだ少し寂しげだったけれど。
「アニキ……前に言ってた里美の話だけど。俺、あいつに相談されて……」
三井が言いにくそうにつぶやく。
久しぶりに名前を聞いただけで、指の先が痛くなった。
「……誰だっけな、そりゃ」
「アニキ……」
「忘れた。もう良いだろ。じゃあな、あいつらにはよろしく言っといてくれ」
俺はまだ何か言いたげだった三井を残して、駐車場に向かった。
日が暮れかけた空に向かって、入口前にあるツリーの電飾がチカチカと光りだしている。
何がクリスマスだよ……俺には関係ねぇ。
見上げた空は、どんより曇っていた。
雪が降りそうだな。
自分が吐いた白い息を見て、ぼんやりそう思った。



