「でもまさか、恋のはじまりのタイミングがかぶるなんてね」


「だよな……」


「で?学校で出会ったって事は、うちの生徒なんでしょ?
誰なの?あんたに惚れられた気の毒な子は」


「っ……お前だけには、言わねぇ!」


興味津々の悪魔に戻った彩花の額を、ぺちっと叩いてやった。


「何よ、ふられろヤンキー!!」


散々悪態をつくと、彩花は俺の部屋のドアを乱暴に閉め、自分の部屋へ戻っていった。


…逃げんな、か……。


ちくしょう、彩花……言ってくれたな。


これじゃ、自分の気持ちを認めざるを得ないじゃないか。


「あ」


そういえば、彩花の好きなヤツって、いったい誰なんだ?