だけど、その相手は。
里美は。
俺を、裏切っているのかもしれない。
「よそ見してんじゃねぇよ!」
「チッ!」
繰り出された拳に、現実に引き戻される。
間一髪で避けたが、それに気を取られて、他のやつの蹴りを背中に受けてしまった。
「っ!」
よろけはしたが、次の攻撃はなんとかかわす。
怒りなのか、悲しみなのか、自己嫌悪なのか。
次々と浮かぶそれらが、全身の血液を沸騰させていく。
「っざけんじゃ、ねえええぇぇぇ!!」
後の事は、よく覚えていない。
気づけば相手は全員倒れていて、俺もボロボロだった。
体に力が入らない。
砂がついた制服を直す気力もない。
「って……」
写真事件の時と同じように、首筋に生暖かい感触がある。
耳が熱い。
誰かにピアスを引きちぎられたのだろう。
しかしそれが1つか2つかは、わからない。
あの時は、腕の中の大事な人を守るのに、必死だった。
今の俺は、何をしてるんだろう。
モヤがかかった頭の片隅で。
あぁ、ここは、二人でユキを匿っていた場所だった。
そんな事を、思い出して。
何故か、涙がにじんだ。



